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第十四章........


○ヨハネの黙示録  第四章 

The Revelation of Saint John Devine chapter 4



 ヨハネの黙示録は新約聖書では異色の福音書である。 およそ、紀元1世紀ごろ使徒ヨハネによって書かれたと信じられている。この書の神秘的な性格ゆえにローマのカイウスという司祭はグノーシス派のケリントスという人の作と見做した経緯がある。しかし、一般に使徒のヨハネの作であると信じられている。ローマのユスティヌスは、紀元155年の「トリュフォンとの対話」で、「わたしたちのところに、キリストの使徒のひとりで、ヨハネという人がおり、この人が預言し、キリストを信じるものはエルサレムにおいて1千年生きる」と記された文献がある。
また、2世紀ごろ、「御主の弟子であるヨハネが黙示録のなかに・・・・を書いた」、とリヨンの司教イレナエウスが書いているという。
ユスティヌスもイレナエウスもエフェソに住み、黙示録の著者を使徒ヨハネとすると、使徒ヨハネが長い間、エフェソに住んでいたと伝えられていることと符合する。黙示録の著者はキリストの弟子であるヨハネであるとみて間違いがない。ヨハネの福音書は、他の福音書に比べて神秘的かつ神学的である。また、当時、ローマ帝国の迫害のもとであったので、95年ごろに書かれた秘密文書の性格をもち、神秘的な比喩をたくさんもちいている。3世紀に入って聖書を合理的に解釈する方法を採用しはじめた頃からヨハネの黙示録はその神秘的な霊的性格から、教会で読まれる聖典からはずされてしまった。
ヨハネの黙示録は、360年頃のラオデキヤの大会議以来100年間は聖典の座にはなかった。黙示録が古来、聖書の解釈上の困難性ゆえに正統なキリスト教の教典として疑問をもたれたのだ。新約聖書はメシアであるキリストにおいて、全人類に対して新しい契約を結んだとするが、そういた意味ではヨハネの黙示録はイエス・キリストのメシアであることを明確に位置付けている。コイネーギリシャ語は当時、地中海世界共通語であったが、新約聖書はすべてコイネー・ギリシャ語で書かれた。 

以下、第4章に限って英語版と訳文を紹介する。  



ヨハネの黙示録 第4章


1;[After this I looked,and, behold,a door was opened in heaven: and the first voice which I heard was as it were of a trumpet talking with me; which said,Come up hither,and I will shew thee things which must be hereafter.

2;And immediately I was in spirit: and ,behold, throne was set in heaven,and one sat on the throne.

1: その後、わたしが見ていると、見よ、開いた門が天にあった。そして、さきにラッパのような声でわたしに呼びかけるのを聞いた初めの声が、「ここに上がってきなさい。そうしたら、これから後に起こるべきことを、見せてあげよう」と言った。

2:すると、、たちまち、わたしは御霊に感じた。見よ、御座が天に設けられており、その御座にいますかたがあった



3:And he that sat was to look upon likea jasper and a sardine stone:and there was a rainbow round about the throne, insight like unto an emerald. 

3:  その御座にいますかたは、碧玉や赤めのうのように見え、また、御座のまわりには、緑玉のように見えるにじが現われていた。


4:And round about the throne were  fourand twenty seats:and upon the seats Isaw four and twenty elders sitting,clothed in white raiment ; and they had ontheir heads crowns of gold.

4:また、御座のまわりには、24の座があって、24人の長老が白い衣を身にまとい、頭に金の冠をかぶって、それらの座についていた。 ここでは、日本訳が「four and twenty seats」の「four」を落としている。4と20の長老の座と書かれたという事を記憶しておく必要がある。神の玉座を中心に、そのまわりに、まず4のフィールドがあり、さらにその周囲に20のフィールドが取り巻いている。長老とはケルブとケルビムであろう。

5:And out of the throne proceeded lightnings and thunderings and voices; and there were seven lamps of fire burning before the throne, which are the sevenSprits of God. 

5:御座からは、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴とが、発していた。また、7つのともし火が、御座の前で燃えていた。これらは、神の7つの霊である。 「lamps」はエゼキエルでふれたとおり、神の玉座のまわりで「up and down」する、燃えるような火に見えることは、すでに知っている。7つのともしびとは「lamps」のことだ。それが、7つあるというのはこの5節で初めてはっきりと分かる。



。6: And before the throne there was a sea of glass like unto crystal; and in themidst of the throne,and round about thethrone, were four beasts full of eyes before and behind.

6:御座の前は、水晶に似たガラスの海のようであった。御座のそば近くそのまわりには、4つの生き物がいたが、その前にも後にも、一面に目がついていた。 御座の前は、水晶に似たガラスの海とあるのは「firmament」すなわち、「大空」と一致する。 玉座の第1群のフィールドは4つであり、たくさんの目があるのは翼と手だったことを思い出してほしい。あたかも石榴(ざくろ)のように見えるのだろうか? それともヘビのうろこのようにみえるのだろうか。

7:And the first beast was like a lion,and the second beast like a calf,  and the third beast had  a face as a man,and the fourth beast was like a flying eagle. 

第一の生き物はししのようであり、第2の生き物は牡牛のようであり、第3の生き物は人の顔をしており、第4の生き物は飛ぶわしのようであった。 玉座の第1群の生き物の名前である。すでに、これらが、占星術の基本概念を使った位置と方位を表している。バビロニアでユダヤ人が学んだ知識がこうして出てくるので、聖書にも古代オリエントの影響があるといえる。 



8:And the four beasts had each of them  six wings about him: and they were full of eyes within : and they rest not day and night, saying Holy,holy,holy,Lord God Almighty,which was,and is,and is to come.

8: この4つの生き物には、それぞれ6つの翼があり、その翼のまわりも内側も目で満ちていた。そして、昼も夜も、絶え間なくこう叫びつづけていた、聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者にして主なる神。昔いまし、今いまし、やがてくるべき者」。


ヨハネは「The four beasts had  each of  them six wings about him.」、となっており、初めから6つの翼とすんなりと書かれている。 
ヨハネの場合は、「about him]とあり、「him」は、「the four beasts」で、「4つの生きもののそばに、6つの翼があった。」と訳せる。このそばにあるということは、具体的には次のような樣である。

every  one were joined one to another, and two covered their bodies.」

 その翼は高く伸ばされ、その2つは互いに連なり、他の2つをもってからだをおおっていた。ケルブを包み込んでいる状態を{about him}で簡単に述べているのである。



9:And when those beasts give glory and honour and thanks to him that sat on thethrone,who liveth for ever and ever,

10:The four and twenty elders fall downbefor him that sat on the throne,and worship him that liveth for ever and ever,and cast their crowns before the throne, saying,

11: Thou art worthy, O Lord,to receive glory and honour and power:for thou hastcreated all things,and for thy pleasure they are and werecreated.

9:これらの生き物が、御座にいまし、かつ、世よ限りなく生きておられるかたに、栄光とほまれとを帰し、また、感謝をささげているとき、

10:24人の長老は、御座にいますかたのまえにひれ伏し、世よ限りなく生きておられるかたを拝み、彼らの冠を御座のまえに、投げ出して言った、

11:われらの主なる神よ、   
あなたこそは、   
栄光とほまれと力とを受けるにふさわしいかた。   
あなたは万物を造られました。   
御旨によって、万物は存在し   
また造られたのであります。
 



9節からは長老たちがが万物の創造者である神を讃えている。以上で、第4章は終わる。

このヨハネの黙示録4章では、「four and twenty」で、神の玉座の回りのケルブ/ケルビムが24のが長老とよりストレートになっている。その御座にいますかたは碧玉や赤めのうのように見えた。
碧玉とは、不透明な石英の一種で赤、緑、黄種があり、色は多様にある。宝石の色が色彩を教えているといえる。


<第十四章完>


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